自己紹介ソング

3年前にこんなコンピレーションアルバムが出ていたことをつい先ほど知る。

70年代から90年代の女性アイドルが自らの名前を歌詞に盛り込んだ自己紹介ソングの数々。
松本伊代さんの『センチメンタルジャーニー』なんかは有名ですね。
現在となっては「まだ16だから」どころか「もう16だから」と言われかねないアイドル業界事情。
それはさておき、仮に、00年代型の現在進行形の女性アイドル二大巨頭をハロープロジェクトAKB48としてみましょう。
それぞれに代表される自己紹介ソングとしては、前者はモーニング娘。の『女子かしまし物語』、後者はチームKの『16人姉妹の歌』が挙げられるでしょう。
女子かしまし物語』については作詞者であるつんく氏自身「自己紹介ソングではない」と主張していますが、メンバーの名前が歌詞に登場するという点でここでは自己紹介ソングに分類します。
この2曲の共通点と相違点は何でしょうか。


共通点は大まかに5点。
まず、メンバーの名前を挙げて各々を紹介しているという点。
次に、曲中に台詞ともMCとも合いの手とも言える「喋り」が挿入されている点。
続いて、編曲において、一言で「ポップ」とは呼べない一癖あるジャンル分けをしている点。
『かしまし』はファンク調で、『16人姉妹』はカントリー調。
そして、紹介されるメンバーについては、本人以外のメンバーが歌唱している点。
最後に、曲名に「娘。」や「AKB」といったグループ・ユニット名を冠していない点。
『かしまし』は「女子」であり、『16人姉妹』は「姉妹」。
両者のタイトルは、女性について歌っていることが明らかでありながらも、アイドルである本人たちを直接指しているのではないようです。


一方で、主に歌詞における両者の相違点。
まず、人数の問題で一人当たりの譜割りは娘。>AKB。
また、『かしまし』はメンバーの名前を読み上げながらも、「女子」の「生態一般」を歌っています。
生意気だとか訛りだとかすっぴんだとか合コンだとか前髪だとかボーイッシュキャラだとか。
それに対し『16人姉妹』では、歌われるメンバーの多くはAKB48チームKのメンバーであることを念頭に置きながらそれぞれを紹介していく。
例えば、休養明けの梅田彩佳さんだとか、シンガーダンサー増田有華さんだとか、これぞアイドル小野恵令奈さんだとか。
あ、そんなに多くないか。
しかしながらゼロかイチかの違いは大きいと思います。
『16人姉妹』を作詞した秋元康氏は、冒頭で挙げたコンピでも何曲か作詞家として登場しています。
大人数アイドル集団の先駆となったおニャン子クラブのプロデューサーであり、『会員番号の唄』なんかも書いていますからね。
もはや自己紹介ソングは秋Pのお家芸とも言えるでしょう。
つんく氏はやはり元が自ら歌う人でありますから、そうしたまどろっこしい自己紹介は抜きにして音や声で勝負したいという気持ちの方が強いのかもしれません。


結論がブレて弱くなってきました。
最後に言いたいのは次のことです。


 大人数アイドル集団は大抵同じことをする。
 この永劫回帰においてはプロデューサーとアイドルは共犯関係にある。


この辺りを今後もっと掘り下げてみたいと思います。
今日も面倒くさい話ですまんこまんこ。